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まさかチャイルドシートという名前で販売されているもので、日本の基準に合わないものが売られていることはないと思っていました。
先日、某大手通販サイトで安全基準のテストを受けていない商品が何種類も、何年にもわたって売られていたことが発覚しました。
1万円以下の安い価格でした。私たちが見ても、こんな商品が安全基準に合格するはずがない(型式認定を受けらない)と思われる代物でした。
ベビー用品は、使用体験のない方が購入される商品ですので、このようなものが出回る余地があるようです。
これらの商品には、安全基準適合について全く記載がありませんでした。
ヨーロッパ基準、あるいは、国連統一規則とか、新基準適合とかいろいろな言葉が使われています。チャイルドシートを買ったり、レンタルする方のご参考に安全基準について簡単にご案内します。
ヨーロッパ基準、あるいは、国連統一規則と書かれたものを見たことがあるかもしれません。
記載方法が統一されてなくてバラバラなのですが、日本の現行のチャイルドシートの安全基準は、いわゆる「UN(ECE) R44/04」です。
新基準としてさらに「UN(ECE) R129/00」があります。(2021年1月現在は、R129/03まであります。)
R44の方はスラッシュの後の04が最新基準を表すポイントです。
道交法71条の三 3項の定めにより道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定に適合したチャイルドシートの使用が義務付けられています。
実質的には型式認定を受けている必要があります。
前述したように、ある大手通販サイトで型式認定を受けていないものが何点も販売されていて、国土交通省が注意喚起をしています。国土交通省「 お子様の安全を脅かす未認証チャイルドシートにご注意!」H29.6.28
メルカリでも、型式認定を受けた商品であることがわかる写真を掲載することにルールを変更しています。
R44とかECEとかチャイルドシートの安全基準には耳慣れない言葉がついていますので、まずそれから説明します。
日本のチャイルドシート基準は、国連欧州経済委員会(United Nations Economic Commission for Europe)が決めた安全基準を採用しているということです。
国連はUNで、欧州経済委員会は、ECEです。
R44が幼児拘束装置の基準です。
UN(ECE) R44/04は、4回目の改訂版ということの様です。
つまり、UN(ECE) R44/04は、国際連合欧州経済委員会で制定された自動車に関する規則の中の、幼児拘束装置の基準、R44の、4回目の改訂をされた基準で、型式認定を受けているということを表しています。
新基準として広告に登場する「UN(ECE) R129/00」ですが、R129は、改良型幼児拘束装置(ECRS)と呼ばれています。
2013年に制定されました。
R44とR129の関係ですが、R44にR129は、とって代わらないとのことです。
両方の基準は、”パラレルに運用される”ことになっています。
したがって、どちらの基準に従っているカーシートも、売られ続けことになっています。
ところで実際は、日本では、国土交通省が、平成29年9月以降、新たにISOFIXチャイルドシートの型式指定を受けるものから、UN-R129への適合を義務付け、R44/04では、新たに型式認証をしないことになっているようです。
ご参考に比較表を作成しました。
ECE R44/04 | ECE R129 (i-Size) |
子供の体重(kg)に基づく分類 | 子供の身長(cm)に基づく分類 |
グループで分類されています。 (グループ0、0+、1、2、3) |
グループはありません |
9kgから前向きにすることができます*表1 | 最低15ヶ月まで後向きでなければなりません*表2 |
装着方法は、シートベルトまたはISOFIX | 装着方法は、ISOFIXのみです |
衝撃試験は、後部および前部からの衝撃 | 衝撃試験は、背面、前面、側面からの衝撃 |
衝突試験に使われるのは、Pダミーと呼ばれる、4つのセンサーを使用したダミーです。 | 衝突試験に使われるのは、Qダミーと呼ばれる32個のセンサーを使用したダミーです。 |
FMVSSは、Federal Motor-Vehicle Safety Standard:米国連邦自動車安全基準です。No.213がチャイルドシートに関する規定です。
アメリカ向けに作られたFMVSS認証の、通常アメリカブランドの商品が、日本国内で販売されています。
日本は、UN(ECE) R44/04ヨーロッパ基準なので、当初FMVSSのチャイルドシートは国内で販売できなくなるのではと言われていました。
アメリカブランドのGracoなどは、従来日本で売っていたアメリカ向けに製造されたFMVSSのチャイルドシートの販売をやめて、ヨーロッパ向けに作られているUN(ECE)
R44/04に切り替えています。アメリカブランドなのに、ECEの商品となっています。
当時アメリカの通商代表部から強い要請があったとか言われていましたが、現在のところFMVSSの商品も、日本国内で販売が継続されており、法制上の問題もないようです。
FMVSS No.213に適合しているものは、ECEの技術基準と同等と認め、適合するものとしているようです。
尚、アメリカで使用するチャイルドシートをレンタルする場合は、FMVSS認証のものでないと使えませんので、ご注意ください。日本製のチャイルドシートはECEですのでアメリカでは使用できません。
また、アメリカ系の航空会社をご利用の場合は、FAA(Federal Aviation Administration:連邦航空局)認証のチャイルドシートでないと
使えないようです。
*1 R129は、アイソフィックス装着タイプだけです。 シートベルト装着タイプは、R44/04の対象ですが、新たな型式認証をしているかは承知していません。
UN(ECE) R44/04 とUN(ECE) R129/00の基準の違いについては別項で記載します。
*2 *1 国土交通省平成28年度第3回車両安全対策検討会(2017.3.30)資料3-3によると、「一体型汎用 ISOFIX 年少者用補助乗車装置について、新たに型式指定を受けるものから UN-R129 への適合を義務付けます。」とあり、平成29年6月に改正を行い、平成29年9月から適用すると記載されています。
申し訳ありませんが、その後の決定については確認できていません。
*2 *2 JASIC(自動車基準認証国際化研究センター)がUN規則を販売しています。 R44が含まれる衝突安全関連の規則だけで年25万円(税別)です。
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