お嬢さん、お嫁さんの、妊娠中の食事は気になるものです。
もうじきジジ、ババになる方も、これは、体に良いから、とか、赤ちゃんに、とかで、妊娠中の方に何かを勧めて食べさせることがあるかもしれません。
赤ちゃんがあまり大きくなり過ぎないように、妊婦の体重をコントロールすること強く意識されたことがありました。
最近問題視されているのは、出生数に占める低出生体重児の割合が高い*1ことです。
ところで、30~40年前に、アメリカでは、マグロの水銀が問題にされていると、聞いたことがあるのではないでしょうか。
長年、アメリカでは、魚は水銀が多いので、食べ過ぎないように言われてると、覚えている方もいると思います。
ところが。10年ぐらい前から、そのアメリカで、魚食を推奨していると聞きました。
ということで、アメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局(およそ日本の厚生労働省に当たる)と、EPA(アメリカ合衆国環境保護庁:市民の健康保護と自然環境の保護を目的としている)のWEBサイトを見てみます。
妊娠中や授乳中にママが魚を食べると、子供の脳の発達をサポートするとか、赤ちゃんの認知発達に役立つ可能性があるとか記載されています。
最近まで、妊婦は「あまり体重が増えるといけないから」と言っていたもうじきジジババになる方たちも、妊婦に「体にいいから、赤ちゃんにいいから」と言うようになるのかもしれません。
以下に粗訳で申し訳ありませんが、訳出しましたので、ご参考にしてください。
FDA と EPA は、魚の摂取に関するアドバイスを発表しています。‡
このアドバイスは、妊娠している可能性がある人、妊娠中または授乳中の人、および子供に食事を与えている親や介護者が、栄養価が高く安全に食べられる魚の種類に関して十分な情報に基づいた選択を行うのに役立ちます。
このアドバイスは、アメリカ人のための食事ガイドライン(the Dietary Guidelines for Americans)の推奨事項をサポートしています。
このアドバイスには、健康的で安全な数十のオプションを簡単に選択できる表があり、魚の栄養価に関する情報が含まれています。
よくある質問と回答のセットでは、チャートの使用方法に関する詳細情報と、魚を食べるための追加のヒントが提供されます。
‡このアドバイスでは、魚や貝などの魚介類をまとめて「魚」と呼んでいます。
以下のアドバイス全文を読むか、PDF でダウンロードしてください。
魚は健康的な食事パター
ンの一部であり、妊娠中、
授乳中、幼児期に重要な
栄養素を提供し、子供の
脳の発達をサポートします。
コリンは、赤ちゃんの脊髄の発達もサポートします。
魚は、子供の免疫システムをサポートする鉄分と亜鉛を提供します。
魚は、タンパク質、ビタミンB12、ビタミンD、セレンなどの他の栄養素の供給源でもあります.
妊娠中の魚の摂取は、
中等度の科学的証拠
により、赤ちゃんの認知
発達に役立つことが
示されているため、
推奨されています。
強力な証拠は、健康的な食事パターンの一部として魚を食べると、心臓の健康に役立つ可能性があることを示しています.
魚を含む健康的な食事パターンには、他にも利点があるかもしれません。
中程度の科学的証拠は、下に示す利点について、魚だけでなく、野菜、果物、豆類、全粒穀物、低脂肪または無脂肪乳製品、赤身の肉と鶏肉、ナッツ、不飽和植物油などの他の食品もこの利点に比較的関連性が高いことを示しています。
そして、赤肉や加工肉、砂糖入り食品・飲料、精製穀物は、この利点に関連性が低いことを示しています。
健康的な食事パターンは、 すべての食品群(野菜、果物、穀物、乳製品、魚を含むタンパク質食品)を選択し、推奨量を食べ、必要なカロリーの範囲内で構成されています。 健康的な食事パターンには、ビタミン、ミネラル、その他の健康増進成分を含み、糖分、飽和脂肪、ナトリウムの添加がないか、あってもごくわずかな食品が含まれます。 |
アメリカ人のための食事
ガイドラインでは、次の
ことを推奨しています。
この表は、水銀の含有量から、どの魚をどれくらいの頻度で食べるかを選択するのに役立ちます 。
盛り付け(サービング)とは?
|
このアドバイスは、公衆衛生を改善するための栄養に関する現在の科学を反映した、アメリカ人のための食事ガイドライン(the Dietary Guidelines for Americans)の推奨事項をサポートしています。
アメリカ人のための食事ガイドラインは、食事パターンと、健康に対する食品と栄養素の特徴の影響に焦点を当てています.
*全体としての食事パターンと潜在的な健康上の利点との間には、中程度の科学的証拠があります.
§ 一部の子供については、アメリカ人の食事ガイドラインに記載されている魚の量が、この FDA/EPA のアドバイスよりも多くなっています。
アメリカ人のための食事ガイドラインは、これらのより多くの量を消費するために、水銀がさらに低い「最良の選択」リストからの魚のみを子供に与えるべきであると述べています。
その魚は、アンチョビ、大西洋サバ、ナマズ、アサリ、カニ、ザリガニ、ヒラメ、ハドック、ボラ、カキ、プレイス、スケトウダラ、サケ、イワシ、ホタテ、シャッド、エビ、ヒラメ、イカ、ティラピヤ、トラウト、ホワイティングである。
2021 年 10 月に改訂されたアドバイス
低出生体重(2500g 未満、Low birth Weight: LBW)児は、日本では近年出生児の9.5%程度となっている。
OECD加盟35か国では平均6.5%程度と言われていて、日本はインドネシア、コロンビアに次いで3位です。(妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針 解説要領 令和3年3月 厚生労働省 p3)
平成31年3月平成 30 年度子ども・子育て支援推進調査研究事業「小さく産まれた赤ちゃんへの保健指導のあり方に関する調査」研究会
「はじめに」に、以下の記述があります。
「出生数に占める低出 生体重児の割合は 1980 年代から増加傾向にあり、2005 年頃からは 9% 台中盤で横ばいが続い ています(人口動態統計)。」
(平成30~令和2年度厚生労働行政推進調査事業費補助金 事業研究) p48から
研究目的の1に「近年我が国においては低出生体重児(LBW) 割合の増加がみられ(図 1)、1980 年の平均 出生体重は 3200 グラムであったのが
2010 年には 3000 グラムへと減少しており・・」と低体重児割合の増加について書かれている。
一方他国では「先進諸国にお いては、医療技術の進歩や体格向上に伴い LBW 児割合が減少している」
我が国における低体重児の増加の原因については
「早産児や未熟児を救命できることになったこと~高齢出産や不妊治療~ハイリスク妊娠の増加や分娩リスクへの配慮から過期産を回避する傾向」としているが、別の研究では、その原因を
「LBW 児の増加要因として、瀧本らは若い女性の体重減少が関与しているというエビデン スを出しており」としている。
また更に、低体重児の問題として「LBW 児の発育に関して加藤らはその後の身長や体重への影響を明らかにしている」と懸念が記載されています。
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