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ハイチェアに新基準 アメリカ 2018年6月topics

ハイチェアに新基準 アメリカ 2018年6月

       

ハイチェアが、アメリカの新基準の影響で、デザインの手直しをされ始めています。

米国消費者製品安全委員会(CPSC)は、2018年6月8日に、幼児用のハイチェアの新基準を承認したと発表しました。

ハイチェアの例
上の画像はCPSCが使用しているもので、対象商品を例示しているものと思われます。

愛育ベビーでレンタルをさせていただいている、ベビービョルンのハイチェアも、販売されているものに、ハーネス付きという名称で股ベルト腰ベルトの3点拘束システムが付けられました。

ベビービョルンのホームページに以下の記載があります。ベルトの付いていない従来のデザインの安全性に自信満々です。(2018.09.15現在)
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ハイチェアに関わる事故の90%は、ハイチェアの座面に立ち上がってしまうことが原因で起こっています。
ベビービョルンハイチェアは、テーブルを前後にスライドさせ、お腹にそってぴったりと保持。
余計な隙間がないので立ち上がりづらい設計。
安全を第一に作られています。
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私共の認識も、股ベルト腰ベルトの3点拘束システムが無くとも、とても安全なハイチェアであると考えていました。

しっかり拘束できているベビービョルンのハイチェアに、更に股ベルト腰ベルトの3点拘束システムが付けられたのは、アメリカのこの動きに関連したもののようです。
画像は、ベルトの付いたベビービョルンのハイチェアです。
ベルトの付いた新しいベビービョルンのハイチェア
取り付けられているベルトを本体から外すことは、できにくくなっています。

以下がCPSCが発表した内容です。翻訳が不十分だったりする場合があります。必要に応じて、原文にてご確認をお願いします。

CPSC ハイチェアの新連邦基準を承認

Release date: June 12, 2018

発表の詳細

WASHINGTON, D.C. –
米国消費者製品安全委員会(CPSC)は、すべてのハイチェア、家庭とレストランの両方を対象とするものを含めて、すべてのハイチェアの安全性を向上させる新しい連邦基準を承認しました。

新しい連邦安全基準には、ASTM International によって開発された最新の自主基準(*1.ASTM F404-18、ハイチェア用標準消費者安全規格)が変更なく組み込まれています。

その基準には、後方安定性と警告ラベルの要件が含まれており、ハイチェアに、*2パッシブクロッチ拘束(受動的な股拘束)3点拘束システムがあることを要求しています。

データ

2011年1月から2017年9月までに、CPSCでは、ハイチェアに関する1,842件の事件報告を受け、そのうち271件は傷害が発生していました。

CPSCの全国危害情報監視システム(NEISS :National Electronic Injury Surveillance System)によると、2015年から2016年までの間に、米国の病院救急部において、ハイチェア関連の怪我で18,500人が治療を受けたと推定されています。

事故の原因

事故の大部分は、落下によるものでした。

子供が、ハイチェアに座ろうとしたり降りようとしたときや、あるいは、子供が椅子に座っているときに、子供が椅子を押したり、前後に揺らして椅子が転倒してしまったときや、 またはハイチェアのコンポーネント(拘束具、トレイ、ロックなど)に不具合があったときなどの、落下によるものでした。

効力

新しい強制のハイチェア基準の発効は、最終規則が連邦登録簿に掲載されてから12ヵ月後で、その日以降に製造または輸入された製品に適用されます。

米国消費者製品安全委員会(CPSC)は、2018年6月8日に満場一致で(4-0)、この基準を承認しました。

*1.ASTMは、アメリカ工業規格とみなせるものです。
F404-18は、ハイチェア用の標準消費者安全規格です。
この消費者安全規格は、通常の使用に起因する子供への傷害を最小限に抑え、合理的に予見可能なハイチェアの誤用または乱用を最小限に抑えることを意図しています。
この規格は3歳までのお子様の使用に対処するものです。

記号の説明をします。

F404-18は、ASTM指定番号で、ASTM基準の固有のバージョンを示します。

F404-18のFは、特定の用途を示しています。
404は、割り当てられた連続番号です。
F404でハイチェアの基準を示しています。

18は、当初の基準が適用された年を示します。
(改訂の場合は最終改正年)
ASTMは通常5年ごとに見直すことになっています。
F404に関しては、2013年以降毎年改訂されています。
強い問題意識がこの分野についてあることが推測されます。

*2パッシブクロッチ拘束(受動的な股拘束)
「パッシブ」がわかりにくいのですが、ベルトをするとか意図的に、あるいは、わざわざすることなく、構造、として拘束を実現するといった意味合いと推測しています。クロッチは股です。

次の画像は、 アメリカで販売されているSKIP*HOP社のTUOハイチェアです。
SKIP*HOPのTUOハイチェア テーブルに股の部分の構造があります
テーブルについているのですが、股の部分に構造があります。さらに腰ベルトと股ベルトが見えています。
GARACOのいくつかのハイチェアも、本体の構造をいじらないで、上の画像と同じように、テーブルに股を抑える構造を付けて対処しているものがあります。

次の画像は、Peg Perego Siestaです。
Peg Perego Siesta股の部分に構造物が見えます。
股の部分に構造があります。さらに腰ベルトと股ベルトと肩ベルトが見えています。

画像でご確認いただいたように、ベルトを留めるといったことをしなくても、構造として赤ちゃんを座らせたときに機能する物をパッシブクロッチ拘束と呼んでいるようです。

尚、腰ベルトと股ベルトだけでなく、肩ベルトが付いている物があります。
新安全基準では three-point restraint system(3点拘束システム)を要求しているので、肩ベルトまでは要求していないものと思われます。
肩ベルトまであるものについては5-point harness (5点拘束ベルト)と呼ぶことが一般です。
ストッケのトリップトラップチェアのベビーセットです。アメリカバージョンは、ベルトが付いています。アメリカバージョンのストッケ トリップトラップチェアのベビーセット ベルト付きです

安全なハイチェアやベビーチェアに関して(個人的見解)

ハイチェアで一番多いのは、滑り落ちるというケースだと思います。

日本のSG(製品安全協会が制定している自主的な安全基準です。)基準では、いわゆる股ベルトが義務付けられています。
実際の商品を見ると、実質的に必ず使う形になっていて、アメリカの基準にあるパッシブクロッチ拘束(受動的な股拘束)となっています。
この股ベルトで、基本的には滑り落ちるのは防げます。

ところが、パッシブクロッチ拘束(受動的な股拘束)だけでは、片足を抜いて両足を揃えると、滑り落ちます。
この欠点は、アメリカの新基準準拠商品の参考画像を見ても推測できると思います。

ハイチェアの座面に立ち上がってしまうというのも落下事故の主な原因です。

股ベルト腰ベルトの3点拘束システムは、幼児が立ち上がるのを防ぎますからとても有効です。
この場合、腰ベルトが有効に機能することがポイントになります。
ベビーカーの落下事故での原因解析で指摘されているのですが、腰ベルトは、腰に巻きつくようになっていることが求められます。
体の幅より外側から腰ベルトが出ていると、腰ベルトの長さをいくら短くしてきつくしても、体とイスとベルトの間に隙間ができ、幼児が抜け出て座面に立ち上がれることになります。

腰回りにグルっと一巡りするのが理想ですが、体の幅の内側からベルトが出ていると、長さが適切に調節されていれば立ち上がれません。

コンビや、アップリカのスウィングチェアのベルトは、基本的にこの股ベルト腰ベルトの3点拘束システムとなっています。
(実際にはさらに肩ベルトがついてます。乳児期に寝かせた状態の安全性を高めるのが主な目的と思われます。)

ただし、装着が面倒で、更に、イスから降ろすときに外すのも面倒と思われるようです。

参考画像でも見られますが、アメリカのハイチェアには、肩ベルトを含む5点式シートベルトが付いているものが多くあります。
ベビーカーでは5点拘束が義務付けられているようですが、ハイチェアは義務付けられていないようです。
5点拘束は、立ち上がれないこともありますが、前かがみにならない 効果があります。
拘束的であることに、アメリカ的子育てでは、あまり頓着しないようです。
日本的子育てには、赤ちゃんをのびのび自由に、といった傾向があり、お母様や子育て関係者の賛意が得られにくいように思います。

以上はいわゆるシルバーグレーコンサルティングで、何らのエビデンスを持っていません。

若干の補足

日本のSG基準は、ハイチェア本体に身体保持機構が取り付けられる形式のものは、36カ月まで、取り付けられていない形式のものは60カ月までとなっています。
一方アメリカのASTM F404は、対象を3才までとしています 。

日本ではハイチェアの安全基準は任意基準です。
製品安全協会の認証を受けたものだけがSGの表示をしています。
前述のベビービョルンのハイチェアとか、ストッケのトリップトラップチェアは、SGマークを取っていません。

貿易の世界では、安全基準は、輸入規制です。
アメリカでは、2008年8月14日に成立した消費者製品安全改善法(Consumer Product Safety Improvement Act of 2008、CPSIA)以降規制が強化されており、ベビーベッド、歩行器、ベビーバスシート、子供用ポータブルベッドレール、ベビーカー、幼児用ベッド、乳児用揺りイス、スリング、バウンサー他に強制の基準が導入されています。
日本では、通商摩擦の中でアメリカなどの申し入れもあり、自由貿易を推進する立場から多くの規制が緩和されてきました。
1973年に消費生活用製品安全法が制定され、消費生活用製品の安全性を確保していくことがめざされました。
SGマークの製品安全協会は、この消費生活用製品安全法に基づいて1973年10月1日に特別認可法人として設立されました。
その後、規制緩和の流れの中で、2012年4月1日に一般財団法人製品安全協会となっています。
日本は、ベビーの分野で強制基準となっているものが、ベビーベッドだけとなっています。
*チャイルドシートも強制基準ですが、自動車関連の規制となっています。
    

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